Always Railways (4)鉄道本の一大集積地と神保町徘徊

神保町駅スタンプ

『神保町に来たのはそれが初めてのことだった。(中略)大通りには道に沿って、書店ばかりがずらりと並んでいるのだ。1)』失意のどん底にあった貴子の目に迫力ある風景として映った靖国通りの古書街です。

神保町には東京駅から丸ノ内線、半蔵門線と乗り継いですぐです。御茶ノ水駅から広い明大通りを降りてきても池田坂のあるお茶の水仲通りを通ってきてもたいした距離ではありません。御茶ノ水駅から来ると靖国通りとの交差点から大きな三省堂書店が見えます。もう神保町古書街の入り口に立っています。大屋書店、八木書店、慶文堂書店と軒を連ねています。

書泉グランデ 写真1 書泉グランデ

一心堂書店を過ぎたところにビルが見えます。書泉グランデ(写真1)です。エレベータで最上階の6階に直行してください。ワンフロアすべて鉄道本とグッズで埋められています。鉄道ファンの方に一度は寄っていただきたいところです。長く駅スタンプが売られていましたが最近は出ていません。これまでスタンプを集めて下さっていた方ができなくなったとのことでした。DVDやCDも揃っています。ときどき自費出版と思われるCDが並んでいます。ハンケンスのセレナーデを聴かれたい方は覗いてみてください。お客さんの雰囲気はいろいろで、初めての方でも抵抗なく入ることができます。

「本と街の案内所」を過ぎたところに菅村書店があります。思わず見落としてしまいそうな店です。ここは鉄道だけでなく、船、飛行機、車の専門店です。さほど広くない店内にびっしり並んでいます。この店のお客さんは筆者と違い鉄分高い人が多いように見受けられます。皆さん一様に黙ってブックタイトルに目を凝らしています。

さらに進みますと角に明倫堂書店が見えてきます。自然科学分野専門の店です。ここを左に曲がりますと次の路地に「さぼうる」(写真2)が見えてきます。森崎書店を営んでいるサトル叔父の行きつけの店で貴子をここに誘います。街のガイドブックの常連の店です。テーブルも椅子も小作りでゆったりはしていませんが、店の雰囲気は穏やかです。コーヒー一杯でいつまでも座っていられる居心地の良さがあります。テーブルに落書きがあるかもしれません。実った恋も破れた恋もありました。

写真2 さぼうる
さぼうる

写真3 共栄堂
共栄堂

神保町は雰囲気のある喫茶店と並んでカレーの店が多いところです。おすすめはスマトラカレーの共栄堂(写真3)です。書泉グランデの斜め向かい側です。通りから地下への階段の先に店が見えています。ポークカレーがおすすめです。テーブルのらっきょう漬けがぷりぷりで美味しく、いくつも食べられます。

自分の殻を破らないでは、相手は打ち解けてくれないことを森崎書店の桃子さんから貴子は教えられます。桃子さんを失った叔父さんはもう一度、森崎書店を開き、貴子はこの街を出て新しい生活を始めます。古書街をめぐりながら、そして疲れた時は古い喫茶店の椅子に体を預けながら、この街に浸かってみてください。

 

1) 八木沢里志:森崎書店の日々 小学館文庫 2010年 16頁(第三回ちよだ文学賞大賞受賞、続編あり)

 

 

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Always Railways
(1)東京駅小景
(2)紅花の里、仙山線高瀬
(3)御茶ノ水散歩
(4)鉄道本の一大集積地と神保町徘徊
(5)寝台急行「はまなす」に乗る函館小旅行
(6)飫肥を周ってJR最南端の駅で開聞岳を見る旅
(7)夕陽と萬代橋の街、柳都新潟
(8)原鉄道模型博物館と鉄道発祥の地、横浜
(9)留萌本線の日、増毛、そして明日萌
(10)新幹線列車名雑感
(11)ホームから海が見える駅
(12)江ノ電で行く海街散歩
(13)ダルマ駅を訪ねて(前編)

 

2015年02月18日 | Posted in 鉄道コラム Always Railways | | No Comments » 

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