Always Railways (5)寝台急行「はまなす」に乗る函館小旅行

急行はまなす
写真1 函館駅の急行はまなす

♪赤く燃え咲くはまなすを~ 1)
切々と松山千春さんが歌う時、厳しい北の大地と凍てつくオホーツクの海、その中で強い風に抗いながら咲いている花が浮かびます。自分の目では見ていませんが、彼のステージではバラが一輪飾られているそうです。
浜茄子と書きますが、バラ科の植物です。日本では北海道に多く分布しますが、南は茨城県から島根県まで自生するようです。ちなみに下北半島を陸奥湾に沿って北上する大湊線の愛称は「はまなすベイライン大湊線」です。
青森と札幌を結ぶ「はまなす」は定期運転されているJRで唯一の夜行急行です。青函トンネルが完成した1988年3月から今日まで、連絡船に替わり本州と北海道を結ぶ列車として走り続けています。「銀河」、「天の川」そして「きたぐに」のラストランの後、JRで定期運転されている寝台急行はこの「はまなす」だけです。
日本海沿いを走り抜ける「トワイライトエクスプレス」は2015年春の定期運転の終了が発表されています。そして最後のブルートレイン「北斗星」、豪華設備で知られている「カシオペア」も巷では北海道新幹線開業に合わせるように消えていくといわれています。
そうした豪華列車の陰に隠れ、あまり表舞台に出てこないのが「はまなす」です。北海道と本州を結ぶ貴重な列車です。この3月のダイヤ改正後も走り続けることが決まっています。オホーツクの冷たい風の中で咲き続けるはまなすのようにいつまでも走り続けてほしいと願っています。

 

はまなすの車輌編成
はまなす車輌編成

急行はまなす

のびのびカーペット
写真3 のびのびカーペット

現在の「はまなす」は図のような7両で運行されていますが、多客期は「増21号車」などが増結されます。特徴はいろいろな車種で編成されていることと思います。まず、のびのびカーペットカーです。サンライズ出雲・瀬戸にもみられますが、横になって寝ることができる席です。連絡船をご存知の方は桟敷席を想像してください。指定席券代で横になれます。特に2階席はしっかりと仕切られていて評判がいいようです。ドリームカーはリクライニングが深く座席の間隔も広いふかふかシートの指定席です。寝台は開放型で2段です。筆者が乗った時ですが自由席は十分空いていました。

 

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話題は変わって函館です。ハマナスで青森に戻る小旅行です。
ゆっくり観光するためできるだけ早い時間の「スーパー白鳥」で函館に入りましょう。まず買い物、という方は駅前の函館朝市に行ってください。改札をまっすぐ出れば目の前に見えます。通り沿いには蟹が並んでいますが、筆者のお薦めは「まほっけ」です。地元の人も来られるという店が中にあります。肉厚の「まほっけ」を見つけてください。市場の奥の食堂は今もあるでしょうか。狭いところですが、ウニ、蟹、イクラがたっぷりの納得の三色丼をご馳走になりました。

函館ハリストス正教会
写真4 函館ハリストス正教会

市内観光での定番は元町地区の教会群でしょうか。函館駅前から市電に乗り末広町で降りてください。ゆっくり散策しながら函館ハリストス正教会、函館聖ヨハネ教会、カトリック元町教会などをめぐることができます。函館は坂の町でもあります。坂の上から海を見通すことができ、ドラマのロケやCMにしばしば登場する八幡坂も散策の道筋です。ぜひ立ち止まって海を見て下さい。青函連絡船の最終便を多くの市民が坂の上から見送ったとも聞いています。
文学好きな方には啄木の足跡をめぐることもお薦めです。函館は啄木が愛した街で、家族とともにこの地に眠っています。

函館の青柳町こそかなしけれ
友の恋歌 矢ぐるまの花2)

潮かをる北の浜辺の
砂山のかの浜薔薇よ
今年も咲けるや3)

函館山からの夜景
写真5 函館山からの夜景

函館の一日の仕上げは函館山からの夜景です。しっかり防寒をしてたっぷりご覧ください。定番の構図ではありません。青函連絡船が大きく写っている夜景を楽しんでください。
上りのはまなすは函館発が3:22です。函館山から降りてこられてもしばらく時間があります。駅は開いていますが、待合はオープンスペースです。中の店は閉まっています。ご都合により駅近くの居酒屋さんやホテルで時間まで待ってください。深夜は人通りも途絶えます。天候も変わりやすいです。くれぐれもご注意ください。

 

 

函館駅スタンプ1 函館駅スタンプ2

写真6、7 函館駅スタンプ

函館グルメです。
函館名物はイカを代表とする海鮮です。イカは駅スタンプにも登場します。もちろんネタが新鮮な寿司も食してみたいところです。
でもここで紹介するのは「鰊みがき弁当」です。函館駅の「みかど」の名物弁当ですが、新しい駅弁に押されて少しばかり隅に行っているのが可哀そうでした。掛紙の真ん中にどかんと大きく「鰊」と書かれていますのですぐわかります。分厚い身欠き鰊の甘露煮と数の子の親子弁当です。トッピングも入っていますがシンプルな弁当で、筆者の一押しです。

鰊みがき弁当
写真8、9 鰊みがき弁当

 

 

 

 

 

 

函館・札幌間を牽引してきたディーゼル機関車DD51が函館で電気機関車ED79に替わり青森まで走ります。ブルーの車体には白い帯が引かれています。金色の帯になっている車両は「北斗星」との共用車両です。機関車に引かれる客車は珍しくなりました。「ゴトン」と機関車に引かれるときの感じも今では貴重です。静かな車内でレールの音を体で聴きながら暗い窓の外を眺めてください。保線の人たちに守られて列車は闇の中を心地よく走ります。しばしの夢路の後、ハイケンスのセレナーデが流れ、青森着は5:39です。

はまなす銘板 はまなすを引くED79
写真10 列車銘板         写真11 はまなすを引くED79

 

♪ あてなき夢を追い求め~ 1)
松山千春さんは生きゆくもののはかなさを歌います。海に降る雪は積もることができません。ブルートレインに、そしてはまなすに走り続けてくれることを願うのは、波間に沈みゆく雪に似てあてなき夢かもしれません。ただ地元の人の脚となる鉄路がいつまでも元気でいてくれることは願わずにいられません。
はじめての人にも懐かしい「はまなす」、乗り込むのは、今です。

 

1) はまなす(松山千春 作詞・作曲)
2) 函館公園の歌碑に刻まれています。
3) 啄木小公園の啄木像の台座に刻まれています。
*函館ハリストス正教会および函館の夜景の写真は函館在住の知人が撮影されたものです
*参考:「はまなす」という名称はこの急行列車だけでなく、過去に異なる列車がありました。

 

 

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Always Railways
(1)東京駅小景
(2)紅花の里、仙山線高瀬
(3)御茶ノ水散歩
(4)鉄道本の一大集積地と神保町徘徊
(5)寝台急行「はまなす」に乗る函館小旅行
(6)飫肥を周ってJR最南端の駅で開聞岳を見る旅
(7)夕陽と萬代橋の街、柳都新潟
(8)原鉄道模型博物館と鉄道発祥の地、横浜
(9)留萌本線の日、増毛、そして明日萌
(10)新幹線列車名雑感
(11)ホームから海が見える駅
(12)江ノ電で行く海街散歩
(13)ダルマ駅を訪ねて(前編)

 

2015年03月17日 | Posted in 鉄道コラム Always Railways | | No Comments » 

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