Always Railways (8)原鉄道模型博物館と鉄道発祥の地、横浜

原鉄道模型博物館入場券

写真1 原鉄道模型博物館入場券

横浜には見ていただきたいところが目白押しです。でも鉄道ファンの皆様に第一に紹介するのはやはり原鉄道模型博物館です。写真撮影は可能でしたがネットへのアップは許可を取っていませんので掲載できません。ぜひご自分の目でご覧になってください。今回は鉄分が濃い話になります。

写真2 金色の像
金色の像鉄道ファンだけでなく、誰もが楽しんでいただけるのが原鉄道模型博物館です。横浜駅の東口からそごうの前に進み、そこを右に折れてください。表示にしたがってしばらく歩き、橋を渡りますとでっかい金色の像が立っています。(写真2) そのビルの2階が原鉄道模型博物館です。開館当初は禁止されていた写真撮影ですが、最近は許可されています。できれば動画も撮ることができるカメラを持って入りましょう。入場料は大人1000円です。(写真1)

この博物館では館長をされてみえる原信太郎氏が製作あるいは収集された膨大な鉄道模型とコレクションが展示公開されています。氏は1919年、東京に生まれ高校まで慶応、大学は東工大に進まれました。戦後、民間の大手企業で自動化機械の開発をされ最後は相談役をされました。3歳の時に田町の操車場を眺めていた記憶があるそうです。小学生のころから鉄道に乗り、一番切符を集め、小学校6年生の時に初めて模型を製作されたと紹介書に書かれています。世界中を旅され、模型を収集されました。訪れた国は延べ約380ヶ国、所蔵模型数約6000輌、他きわめて多数です。(シャングリラ・レール出版部監修 「原模型こだわり入門」を参照) 1)
日本政治思想史を専門にされ数々の鉄道関連著作でも有名な原武史氏(明治大学教授)は、「原氏の経歴を見ると、私と似ていないこともない。(中略) 私も中学、高校は慶応に通い、推薦辞退書を書いて他大学に進学したからである。一三歳にして最初の鉄道模型を製作したという氏の趣味は、慶応で育まれたのだ。」と自著で書かれています。2) ちなみに同じ原姓ですがたまたまとのことです。

第一展示室は「原模型の真髄」と名付けられている部屋です。氏が製作された代表作が展示されています。何といっても「一号機関車」です。小学生の氏が不要になったトタン板を自分で加工して作った8000型電気機関車です。針金でパンタグラフを作ったこの模型は今も架線から集電して走行できるそうです。見事な出来にただ感心します。もう一つ見ていただきたいのはオリエント急行です。屋根が上げられていて天井絵まで見ることができます。

第二展示室は「語る模型」と名付けられています。テーマに沿って模型が展示され、歴史を語っています。
第三展示室は「ヴィンテージ・コレクション」の部屋です。私はたくさんの一番切符に引かれました。アンティークな鉄道玩具もあります。この他にシャングリラ伝説、プロムナード、工房など実にいろいろです。

いちばんテツモパーク、ここが最大の見所です。1番ゲージの大型鉄道模型が走る世界最大級のレイアウトと、その観覧席が作られています。1番ケージは線路幅が45mmです。実際に張られた架線から集電して模型が走ります。台車も実際の鉄道と同じ構造で手作りされています。
線路幅9mmのNケージなどを走らせたことがある方はご存知と思います。変圧器の操作一つで模型を速く走らせることも止めることも自由にできます。しかし、ここの鉄道模型は違います。鉄道と同じで惰力走行をします。ホームに止めるときは距離、速度から走行する距離を計算しなければ正しい位置に止めることができません。
この巨大なレイアウトの最大の特徴は精密に街や自然が作られ、そこに生活している人も作られていることです。先に引用させていただいた原武史氏は『原鉄道模型博物館のジオラマには「人」がいるのだ。だから鉄道模型だけが突出しているわけではなく、「街」のなかに溶け込んでいる。』と述べてみえます。2)
人が住む街の中を実際と同じレール音を響かせて大型の鉄道模型が走ります。ぜひ近づいて動画で撮影してみてください。再生したときに感動が蘇ります。ここには世界の車輛模型が走っています。氏の理想を感じることができます。

満足して出口に進みますと左手に「横浜ジオラマ」が展示されています。ここで走っている模型は他の展示場でよくみられるHOケージです。1番ケージを見てしまいますと物足りない感じもしますが、通過することなくしっかり見てきました。

 

満足して出口に進みますと左手に「横浜ジオラマ」が展示されています。ここで走っている模型は他の展示場でよくみられるHOケージです。1番ケージを見てしまいますと物足りない感じもしますが、通過することなくしっかり見てきました。

写真3 原鉄道模型博物館のミュージアムショップ
原鉄道模型博物館 ミュージアムショップ下りのエスカレータを降りた先の右側にTenshodoという店名とミュージアムショップという表示がみえます。ここは精密な鉄道模型で有名な天賞堂のショップであり、原鉄道模型博物館のミュージアムショップです。(写真3) 店内は広くはないですがたくさんの模型が並べられています。他の鉄道模型ショップではあまり見かけないものを紹介します。青函連絡船の模型です。写真は羊諦丸の模型です。(写真4) 私が最後に乗船した青函連絡船です。

写真4 羊諦丸の模型
青函連絡船の模型

積み込まれた貨車自分にとってはかなり高価であったためいつも見ているだけでなかなか買えませんでしたが、鉄道博物館を何度目かに訪ねた際に思い切って購入しました。精巧な作りで車輛甲板には積み込まれた貨車がみえています。(写真5) ご希望により青函連絡船の八甲田丸で実際に録音された銅鑼の音、蛍の光も流すことができます。

写真5 積み込まれた貨車

 

突然ですが、「紅涙を絞る」、という言葉を聞かれたことはありますか。今ではほとんど死語になっていると思います。かつて若い女性の紅涙を絞った歌にダ・カーポの「結婚するって本当ですか」があります。この横浜の地で活動していたアマチュアバンドから生まれた二人組ですが、この歌がヒットしたのは40年位前です。ご存じでない方も多いかと思いますが、原鉄道模型博物館に程近いところに歌に出てくるゆかりの場所がありますので簡単に紹介します。

♪ ほんの小さな出来事で別れて半年たったけれど やさしい便りを待っていた 3)
♪ 雨上がりの街、青い風が過ぎる 花屋の店先の赤い電話に立ち止る 3)

ダ・カーポの歌にでてくる花屋さん仲直りのやさしい言葉を待っていた彼女のところに届いたのは彼の結婚を知らせる短い手紙でした。コスモスが揺れていた、ということですから秋でしょうか。もう一度、その胸に戻りたいと願っている彼女の目に花屋さんの店先の赤電話が飛び込んできます。でも電話をかけることはできず、静かにふたりの幸せを願います。
その花屋さんが横浜駅近くにあったという記事を手掛かりに探しに行きました。具体的にはお伝えできませんがそのお店が見つかりました。(写真6)

写真6 ダ・カーポの歌の花屋さん

子どもも携帯やスマホを持っている時代です。店先に赤電話はありませんでしたが、街中の身近な花屋さんにも行き交う人たちの思いが交錯していることを改めて感じました。
ところで、こんなことでお店の方に声を掛けられますと迷惑です。もし気づかれても立ち止まらずに静かに通過してください。

 

再び横浜駅から乗車し桜木町で降りてください。ミナトミライへの入口のひとつです。この桜木町駅は1872年(明治5年)に日本で初めて鉄道が走った時の横浜駅です。桜木町のコンコースの四角い柱をご覧ください。ミニ鉄道博物館になっています。(写真7) 鉄道技師エドモンド・モレルのレリーフも飾られています。(写真8) 彼は今、横浜の外人墓地に眠っています。

写真7 桜木町駅のコンコース           写真8 エドモンド・モレルのレリーフ
桜木町駅コンコース エドモンド・モレルのレリーフ

鉄道発祥の地はどこでしょうか。鉄道模型が最初に走ったのは長崎です。1853年(嘉永6年)に長崎に入港したロシアの艦隊が持ってきたものだそうです。翌1854年にペリーが2度目の来航したとき、大統領から将軍への献上品として持ってきて横浜で走らせました。模型と言っても機関車は人が乗って運転し、客車は子どもであれば入れる大きなものであったといわれています。
イギリスからエドモンド・モレル氏が建築師長に着任、ついで井上勝氏が鉱山頭兼鉄道頭に就任し、本格工事が進み、1872年 に新橋・横浜間で正式に開業しました。ただその数か月前から品川・横浜間で仮営業がされていたと言われています。
どこを鉄道発祥の地とするかは何をもって発祥とするかで違ってくるかもしれません。ただ外国人技師として日本の鉄道の礎を築かれたモレル氏のレリーフが桜木町駅に飾られ、今もこの地に眠ってみえることはぜひお知らせしたいと思います。近くに行かれましたらご覧ください。

桜木町駅、横浜駅

 

 

1) シャングリラ・レール出版部監修  原模型こだわり入門 2012年
2) 原武史著 思索の源泉としての鉄道 講談社現代新書
3) 結婚するって本当ですか 作詞久保田広子、作曲榊原政敏、歌ダ・カーポ 1974年
参考 旧新橋停車場には鉄道歴史展示室があります。

 

 

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Always Railways
(1)東京駅小景
(2)紅花の里、仙山線高瀬
(3)御茶ノ水散歩
(4)鉄道本の一大集積地と神保町徘徊
(5)寝台急行「はまなす」に乗る函館小旅行
(6)飫肥を周ってJR最南端の駅で開聞岳を見る旅
(7)夕陽と萬代橋の街、柳都新潟
(8)原鉄道模型博物館と鉄道発祥の地、横浜
(9)留萌本線の日、増毛、そして明日萌
(10)新幹線列車名雑感
(11)ホームから海が見える駅
(12)江ノ電で行く海街散歩
(13)ダルマ駅を訪ねて(前編)

 

2015年07月29日 | Posted in 鉄道コラム Always Railways | | No Comments » 

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